○阿賀町のきれいな空気、おいしい水及び安全な土を守り続ける条例
平成17年4月1日
条例第115号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全に関する基本的施策(第7条―第17条)
第3章 廃棄物の適正処理による環境保全(第18条・第19条)
第4章 環境保全協定及び調査指導等(第20条―第23条)
第5章 罰則(第24条・第25条)
附則
緑の山々に囲まれ、町の中央を東から西に阿賀野川が貫流し、そこに幾筋もの支流が注ぎ、四季折々に美しい私たちのふるさと阿賀町。先史の時代から、自然を活かし、自然に生かされ、町を愛する多くの人々の労苦と英知に支えられて今日を迎えた。この水と緑に代表される豊かな自然の中に、阿賀町の過去も、現在も、未来もある。
しかしながら、近年、大量生産、大量消費及び大量廃棄型の社会経済活動や生活様式が定着する中で、人間の活動が環境に与える負荷は増大してきており、阿賀町においても、生活排水による水質汚濁や廃棄物の量の増大と不法投棄への対応、多様な化学物質による環境汚染の防止などが、重要な課題となっている。
私たち町民は、環境が有限であることを深く認識し、私たちの宝であるきれいな空気、おいしい水、そして安全な土を守り、人と自然が共生する健全で潤いと安心できる環境を将来の世代に継承していくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、現在及び将来にわたり、町民が健康で快適な生活を営むのに必要な環境の維持及び向上を図るための基本理念を定め、並びに町、町民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する町の施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来町民及び事業者等の自覚と参加のもとに総合的に推進し、もって町民の福祉の向上に寄与することを目的とする。
(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(3) 自然環境 自然の生態系をめぐる大気、水、土地、動植物及び景観をいう。
(4) 生活環境 人の健康と生活に関する環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含む。
(5) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。
(6) 町民等 町内に居住し、若しくは滞在し、又は町内を通過する者をいう。
(7) 事業者 町内で事業活動を行う者をいう。
(8) 所有者等 所有者、占有者又は管理者をいう。
(9) 公共の場所等 道路、河川、水路、公園、広場その他公共の用に供する場所及び他人の所有、占有又は管理する場所をいう。
(環境の保全についての基本理念)
第3条 環境の保全は、町民の健康で文化的な生活の基盤である健全で恵み豊かな環境を継承し、これを良好な状態で将来の世代に継承することができるように、適切に行われなければならない。
2 環境の保全は、地域における多様な生態系の健全性を維持し、及び回復するとともに自然と人との豊かな触れ合いを保つことにより、自然と人間との共生を確保するように、適切に行われなければならない。
3 環境の保全は、環境の保全上の支障を未然に防止することを基本に、環境にやさしい循環を基調とする社会を構築することを目的として、公平な役割分担の下に、すべての者の自主的かつ積極的な取り組みによって行われなければならない。
4 地球環境保全は、すべての事業活動及び日常活動において着実に推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全を図るため、次の掲げる事項に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施することにより健全で潤いと安心できる環境が創造されるように努めなければならない。
(1) 公害の防止に関すること
(2) 自然環境の保全に関すること
(3) 生物の多様性の確保及び希少野生動植物の保護に関すること
(4) 身近な自然、良好な景観、歴史的又は文化的資源等と調和した快適な環境の保全及び創造に関すること
(5) 再生資源の利用や廃熱の有効利用等による資源の循環的利用(以下「資源の循環的利用」という。)並びに廃棄物の発生の抑制及び適正な処理に関すること
(6) 地球環境保全に関すること
(7) 環境物品等の調達の推進に関すること
(8) 環境影響評価に関すること
(9) 前各号に掲げるもののほか、環境の保全に関し必要と認められる事項
2 町は、町民、集落及び事業者等が行う環境保全に関する事業に必要と認められるときは、その事業に対して総合調整を行うとともに必要な助言その他援助を行うことができるものとする。
(町民等の責務)
第5条 町民等は、基本理念にのっとり、日常生活から生ずる環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 町民等は、基本理念にのっとり、環境の保全に自ら進んで努めるとともに、町が実施する環境施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に伴って生ずる公害を防止するために、自らの責任と負担において必要な措置を講ずる責務を有するとともに、環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たって、公害その他自然環境又は生活環境に支障を及ぼす行為に係る紛争が生じたときは、速やかに誠意をもってその解決に努めなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、町が実施する環境施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全に関する基本的施策
(施策の基本方針)
第7条 町は、基本理念にのっとり、環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては、次に掲げる事項が確保されるように施策相互の連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 生活環境が保全されるように、大気、水、土壌その他の環境が良好な状態に保持されること。
(2) 生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。
(環境基本計画)
第8条 町長は、環境保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する長期的な目標
(2) 環境の保全に関する長期的かつ総合的な施策の方針
3 前項に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
4 町長は、必要に応じて環境基本計画の見直しを行うことができるものとする。
(施策の策定等に当たっての環境配慮)
第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策又は事業計画を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図ることにより環境負が低減されるように配慮しなければならない。
(環境影響評価の推進)
第10条 町は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について、適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全に関する施設の整備等の推進)
第11条 町は、緩衡遅滞その他の環境の保全上の支障を防止するため公共的施設の整備及び汚泥のしゅうせつ、絶滅のおそれのある野生動植物の保護増殖その他の環境の保全上の支障を防止するための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、下水道、廃棄物の公共的な処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備及び森林の整備その他の環境上の支障の防止に資する事業を推進するため必要な措置を講ずるものとする。
3 町は、公園、緑地及び文化財その他公共的施設の整備その他自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的利用の促進)
第12条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者による資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 町は、環境への負荷の低減を図るため、町の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に努めるものとする。
(環境の保全に関する教育、学習等の推進)
第13条 町は、町民及び事業者が環境の保全に関する理解を深めるとともにこれに関する活動の意欲を高めるようにするため、環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。
(環境の保全活動に対する支援)
第14条 町は、町民、事業者又はこれらの者の構成する民間団体が地域において自発的に行う環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境保全の推進)
第15条 町は、地球環境保全が人類共通の課題であることにかんがみ、地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に資する施策を推進するものとする。
(関係者との連携)
第16条 町は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、町民、事業者等関係者との連携体制の整備に努めるものとする。
(国等との協力)
第17条 町は、環境の保全に関し広域的な取り組みを必要とする施策については、国、県及び関係市町村と協力して推進するように努めるものとする。
第3章 廃棄物の適正処理による環境保全
(環境の美化及び清潔の保持)
第18条 土地及び建物の所有者等は、当該土地及び建物を適正に管理し、生活環境の美化及び清潔の保持に努めなければならない。
2 土地及び建物の所有者等は、当該土地建物及び周囲に廃棄物を捨てている者を発見したときは、当該廃棄物を回収させるように努めなければならない。
3 町民等は、犬及びその他の動物を飼養する場合は、それらの糞等で公共の場所等を汚すことのないように、適切な措置を講じ、清潔の保持に努めなければならない。
4 町民等は、前3項に定めるもののほか、生活環境の美化及び清潔の保持に努めなければならない。
(不法投棄等による環境汚染の禁止)
第19条 町民等は、公共の場所等に空き缶、たばこの吸い殻その他の廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下「廃棄物」という。)を廃棄することにより、自然環境又は生活環境を汚染してはならない。
2 町民等は、国、県及び町の定める処理基準(以下「処理基準」という。)に反して廃棄物を焼却することにより、自然環境又は生活環境を汚染してはならない。
3 事業者は、処理基準に反してその事業活動に伴って生じた廃棄物を処理することにより、自然環境又は生活環境を汚染してはならない。
第4章 環境保全協定及び調査指導等
(環境保全協定の締結)
第20条 町長は、環境への負荷の低減及び公害の防止のために必要があると認めたときは、事業者と協定を締結することができる。
2 事業者は、前項の規定により協定の締結を求められたときは、これに応じなければならない。
(報告の徴収)
第21条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、環境を害し、又は害するおそれのある者に対し、必要な事項を報告させることができる。
(立入調査)
第22条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員をして、土地、施設又は事業所等に立入調査させることができる。
2 土地、施設又は事業所等の所有者等は、正当な理由がない限り、前項の立入調査を拒み、又は妨げてはならない。
3 第1項の規定により立入調査する職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(指導及び勧告)
第23条 町長は、環境の保全上必要と認めるときは、必要な指導又は勧告をすることができる。
2 町長は、前項の勧告に従わない場合には、これを公表することができる。
第5章 罰則
(過料)
第24条 第18条の規定に違反した者は、5万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
3 この条例の施行の日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。