○阿賀町消防救助活動要綱
平成26年4月1日
消防本部訓令第2号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 水難救助(第5条―第9条)
第3章 山岳救助(第10条―第12条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は、阿賀町消防本部警防規程(平成17年阿賀町消防本部訓令第9号)第50条に基づき、救助活動に関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 一般救助事故 陸上における災害等により、救助活動を必要とする事象をいう。
(2) 水難事故 水上又は水中における災害等により、救助活動を必要とする事象をいう。
(3) 山岳遭難事故 山岳地における災害等により、救助活動を必要とする事象をいう。
(救助隊の編成)
第3条 救助隊の編成は、次の各号に定めるところによる。
(1) 一般救助隊は、主として、一般救助事故の救助活動、水難事故及び山岳遭難事故の支援を行う目的で編成された隊員をもって充てる。
(2) 水難救助隊は、水難事故の救助活動を行う目的で編成された隊員をもって充てる。
(3) 山岳救助隊は、山岳遭難事故の救助活動を行う目的で編成された隊員をもって充てる。
(4) 前各号のほか、比較的浅い山域及び平地において行われる行方不明の捜索活動等については特命隊員をもって充てる。
(救助活動時の隊員数)
第4条 消防署長は、災害状況、規模等を考慮し、次の各号に定める基準に従い、隊員数を決定するものとする。
(1) 一般救助隊は、1隊4名以上を原則とする。ただし、現場状況、活動内容等により、隊員数を減ずることができる。
(2) 水難救助隊は、1隊5名以上を原則とする。ただし、明らかに要救助者の存在範囲が限定されるような場合においては、隊員数を減ずることができる。
(3) 山岳救助隊は、1隊5名以上を原則とする。ただし、現場状況、活動内容等により、隊の編成、隊員数を決定するものとする。
第2章 水難救助
(捜索基準)
第5条 捜索方法にあっては水面上等を原則とし、捜索の範囲は次の各号に定めるところによる。ただし、現場最高指揮者又は水難救助隊の隊長(以下「水難隊長等」という。)が、流速、波浪、水中視界及び隊員の活動能力等を考慮し、総合的に安全が確保できると判断した場合はこの限りではない。
(1) 水深は、3メートル未満とする。
(2) 水流の速度は、1ノット(0.5メートル毎秒)以下とする。
(3) 波浪及びうねりは、波高50cm以下とする。
(4) 水中の視界は、2メートル以上とする。
(5) 捜索時間帯は、日の出から日没までの間とする。ただし、水面上及び水中における充分な照明を確保できる場合はこの限りではない。
(6) 水中活動区域は、要救助者を視認できた場合とする。
(7) 水温は、おおむね摂氏10度以上とする。ただし、短時間で救出可能な場合はこの限りではない。
(8) 水難隊長等は、隊員の安全、衛生上危険があると認めたときは、捜索を行わせないものとする。
(捜索活動上の留意事項)
第6条 水難隊長等は、捜索活動の連帯と安全を確保するため、隊員の中から捜索リーダーを定めなければならない。
2 捜索リーダーは、水難隊長等との連携を密にし、捜索活動中の隊員の把握に努めるものとする。
3 水難隊長等は、安全を確保するため、次の各号に留意して活動するものとする。
(1) 現場到着後、関係者、目撃者等から情報を収集するとともに、捜索活動水域の障害物及び作業危険の有無を把握すること。
(2) 現場の状況、水深、流速及び水中視界等により、捜索方法及び範囲を決定すること。
(3) 活動は、複数での活動を原則とし、直ちに救援できる態勢にある待機員を待機させておくものとする。
(4) 隊員の体調を事前にチェックし、捜索する隊員及び待機員を明確に指名すること。
(5) 待機員とともに捜索状況、周囲の環境等の状況監視に当り、隊員との連絡を保つこと。
(6) 捜索活動を実施する場合、状況により捜索方法及び範囲の修正、あるいは捜索する隊員の交替等を行う。
(7) 捜索中、状況の変化により救助方法を変更する場合、又は二次的災害危険がある場合は、直ちに捜索活動を中止させ、上席の指揮者等と協議し別の救助方法を検討すること。
(8) 捜索活動が長時間に及ぶ場合は、隊員の安全に留意し、活動に無理のないように配意すること。
(9) 捜索リーダーが捜索する場合は、水難隊長等に行動予定等を明確に伝達すること。
4 隊員は、他の隊員との相互安全を確保するため、次の各号に配意して行動するものとする。
(1) 水難隊長等から指示された事項(活動方針、要領等)を完全に理解し、単独行動を避けること。
(2) 体に異常(耳、鼻、局部的な異常を含む。)を感じたときは、捜索活動を中止する。
(3) 活動中にトラブルが発生したときは、一緒に活動している隊員に合図し、手助けを得ること。近くに隊員が見当たらない場合は、全ての行動を停止し、落ち着いて対処し、反射的な行動をとらないこと。
(安全管理)
第7条 隊員の捜索活動は、水温、流速、透明度、水圧等により、物理的及び生理的作用を体に受けるものであり、捜索時の安全を確保するため、次の各号の措置を習熟しておくものとする。
(1) 捜索活動中に体調に不具合が生じた場合は、直ちに隊長に申し出ること。
(2) 遊泳技術等の訓練を随時実施すること。
2 その他水難事故の安全管理については、阿賀町安全管理マニュアルに基づいて行うこととする。
(舟艇活用時の安全管理)
第8条 舟艇、ゴムボート等を使用して支援又は警戒を実施する場合は、次の各号による。
(1) 流水のある場所では、漕艇が困難であるため、船外機を使用しない場合にはロープ展張又はアンカーをとる等、舟艇が流されないよう措置すること。
(2) 乗艇する隊員は、必ず救命胴衣を着用するとともに、定員を厳守すること。
(3) 舟艇に要救助者を引き上げる場合、重心の移動により転覆しないよう配意すること。
(健康管理)
第9条 消防署長は、医師の健康診断に基づき、疾病等にかかっている者については、水難隊員としての活動に一定期間従事させないものとする。
2 隊員は、体調等について水難隊長等へ申告しなければならない。
3 水難隊長等は、隊員が次の各号に該当している場合、当日の捜索活動に従事させないものとする。
(1) 風邪、頭痛、消化器系の疾患又は他の疾患により体調が悪い者(鼻づまり、眼病、歯痛等、局部的不調を含む。)
(2) 外傷、皮膚病及び体表面に異常のある者
(3) 災害活動、訓練等に従事し、疲労の著しい者
(4) 精神的負担、あるいは動揺等の著しい者
(5) その他、捜索活動を行うことが適当でないと判断される事由がある者
第3章 山岳救助
(活動基準)
第10条 山岳遭難救助活動は、次の各号により活動するものとする。ただし、消防署長が現場の状況及び緊急性等を考慮し、時期を失せず活動しなければならないと判断したときはこの限りでない。
(1) 夜間の検索及び救出活動は行わない。ただし、消防署長又は山岳救助隊の隊長(以下「山岳隊長」という。)が関係機関と連絡調整を図り、隊員の安全が十分図られると判断した場合はこの限りでない。
(2) 情報収集は、現場の位置、目標及び要救助者の状態等を出来る限り正確に把握するため、関係者及び関係機関から積極的に行うものとする。
(3) 救出活動の方法及び手段は、安全確実を優先し、要救助者の状況、活動環境、気象変化及び長時間活動等に配意するとともに、人員、救助資器材等山岳救助隊の能力を考慮し決定する。
(4) 交替要員の確保及び交替時期は、活動時間、活動内容及び気象状況等から判断し、時期を失せずに行う。
(5) 次のような場合には、事故の内容、社会的影響を考慮し、関係機関と連絡調整を図りながら、救助活動の継続可否を決定する。
ア 事故の状況及び経過時間等から、生存の可能性がないと判断される場合
イ 悪天候、隊員の疲労度から見て、活動を継続することにより、二次災害の発生危険が大きいと判断される場合
(活動要領)
第11条 山岳遭難救助活動は、次の各号によるものとする。
(1) 現場の状況、気象状況等を考慮して救助・救急資器材、共同装備品及び食料・飲料水等を選定し携行する。
(2) ガレ場、崩壊地付近では、落石の発生に配意するとともに、上方に注意を払いながら行動する。
(3) 急激な降雨の後は、沢の水が一挙に増加するので、退路、退出方法を確保しながら行動する。
(4) 積雪期又は雪渓のある場所は、雪崩、滑落等の危険性が高いため、ロープ確保等により隊員相互の安全を確保するとともに、先導者は雪の下の氷結状況等をピッケル等で確認しながら行動する。
(5) 要救助者を発見した場合は、携帯無線機、拡声器及び警笛等により速やかに他隊と連絡をとるとともに、現場指揮本部に報告する。
(6) 救出活動は、救出路を決定し、明確な任務分担、適正な人員配置並びに綿密な手順等の周知徹底を図ってから行う。
(7) 救出活動は、要救助者及び隊員の安全を確保するため、浮き石、樹木等の障害物を除去し、活動スペースを確保してから行う。なお、状況によっては監視員を指定し、活動環境等の監視にあたらせる。
(8) 救出活動を効率的に行うため、現場地物を利用する等、各種資器材を有効に活用する。
(9) 搬送経路は、地形、気象状況等を考慮し、安全性が高く体力の消耗が少ないルートを選定する。また、状況に応じてヘリコプターの積極的活用に配意する。
(10) 搬送する場合は、先導者、搬送者及び搬送補助者を指定して行う。
(11) 徒手搬送、担架搬送及び背負子による搬送は次のことに留意する。
ア 徒手搬送
(ア) 要救助者を素手により搬送し、緩斜面及び比較的足場のよい場所で行う。
(イ) 長時間の搬送には適さず、一時的危急回避に適する。
(ウ) 搬送方法が安定しないため、要救助者の状態を悪化させるおそれがある場合は別手段で行う。
イ 担架搬送
(ア) 要救助者に対して最も適した体位管理を行う。
(イ) 要救助者の頭部は、原則として高い方に位置する。
(ウ) 要救助者を担架のベルト及び小綱等により確実に固定する。
(エ) 担架を安全に搬送するため、必要によりロープ等で確保する。
ウ 背負子搬送
(ア) 要救助者を安定した状態で背負子に座らせ、小綱等を使用して固定する。
(イ) 急な坂道を下る場合は、搬送補助者等を指定し、搬送者をロープ等で確保させる。
(12) その他、山岳隊長及び隊員は、現場状況等に応じ臨機応変に行動するものとする。
2 山岳遭難救助活動は、現場状況によって山岳隊長、隊員が別々に行動する場合があり、それぞれ別の隊、班に配置された場合は、配属された隊又は班の指揮者の指示に従い、次の各号に配意し活動する。
(1) 隊又は班の指揮者から指示された事項、活動方針、内容等を理解し行動する。
(2) 各隊の装備資器材等を明確にし、救出時における行動を容易にしておく。
(3) 各隊との連絡手段等を明確にし、他隊との連携を保ちながら、自隊のみの単独行動を避けること。
(4) 自隊又は他隊からの連絡合図が途絶えた場合は、自隊への合流並びに他隊との連絡確保に主眼をおきながら活動する。
(安全管理)
第12条 山岳地においての活動は、二次災害発生の危険が大きく、次の各項に配意し活動する。
2 現場状況の事前把握のため、現場を熟知した者の参加を可能な限り依頼し、情報を収集する。
3 自然現象及び環境変化に対処するため、現場状況により活動現場を見渡せる位置に監視員を配置する。
4 事前の気象状況把握により、急激な気象の変化に対処できる装備資器材等を準備する。
5 活動範囲が広範な場合で、連絡が途絶える個所が予測される現場では、あらかじめ避難、集結場所を指定しておく。
6 活動は、体力の消耗が激しく長時間となる場合が多く、疲労に伴う注意力、行動力等の低下がみられるため、効率的な活動と適宜な交替等に配意するもとする。
附則
この訓令は、平成26年4月1日から施行する。
附則(平成26年9月1日消本訓令第5号)
この訓令は、平成26年9月1日から施行する。